助産師外来とは助産師が妊婦さんの健診や保健指導を行なうことです。
従来は医師が担当していた妊婦さんの診療のうち、一部を助産師が担当する新たな試みとして注目されています。
助産師が継続して妊婦さんのケアをすることで、出産前から子育ての時期までを幅広くサポートできるのが助産師外来といえるでしょう。
産科医と何がちがう?助産師外来とは
助産師外来とは?
厚生労働省では平成20年から助産師外来の普及を図っています。
これは産科医不足対策の一環で、院内助産所と併せて厚労省が推進しているものです。
助産師外来では「妊産婦の健診や保健指導」を、院内助産所では「正常妊産婦のケアや助産」を助産師が自立して行なうとしています。
産科医との違いは?
助産師外来は産科や産婦人科に併設されるのが一般的です。
大手総合病院や大学病院では独立した助産師外来を設けているところもありますが、助産師は産科医との連携のもと健診や保健指導を行ないます。
助産師が助産師外来で担当するのは、正常経過の妊産婦で医師から経過良好と診断されている妊婦さんのみです。
それ以外の妊婦さんの診療やケアは産科医が担当します。
一例を挙げると、基礎疾患がある、妊娠経過に異常がある、前回の妊娠や分娩経過で異常があった、感染症の問題がある等の妊婦さんは助産師外来では対応しません。
また、産科医に正常経過と診断された妊婦さんでも、状態の変化があれば随時医師が診療できるシステムが採られています。
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助産師外来での仕事・役割は?
助産師外来での助産師の仕事内容や役割とは何なのでしょうか。そのメリットや効果と併せて分かりやすく紹介します。
助産師の仕事内容
・妊婦健診(健康診査)
正常経過の妊婦さんに対して助産師が行なう健康診査です。
主な内容は体重・血圧・腹囲・子宮底測定、尿検査、保健指導などです。状況に応じて超音波撮影(エコー)を行なう場合もあります。
ただし、妊婦さんの健診はすべての周期において助産師のみが行なうわけではありません。
24週までは産科医が担当したり、それ以降も妊婦さんの状態や本人の希望に応じて医師が健診を行なうケースも見られます。
・生活指導と相談対応
妊娠前期の生活指導や栄養指導、母乳育児のための乳房チェック、妊娠後期の乳房ケアや乳房マッサージの指導、スムーズな授乳のためのトレーニングなどを行ないます。
妊婦さんやご家族からの相談や質問に対応します。
助産師外来では予約制を採っているところが多く、妊婦さんやご家族がリラックスして助産師とコミュニケーションを取れるような配慮をしています。
最近では妊婦さんのバースプランを尊重し、より良いお産や子育てが実現するようなサポートとケアを目指すものです。
助産師の役割
助産師外来における助産師の役割は大きく分けて2種類あります。1つめは産科医不足対策のためのサポート、2つめは妊婦さんのケアとサポートです。
さらに助産師としての知識や経験を活かして、妊婦さんのご家族のサポートも行ないます。
・産科医不足の対策
近年の産科医不足や医師不足を受けて、厚労省では助産師外来を設けることで対策を図っています。
病院や医療センター等の医療機関に助産師外来を設け、正常経過の妊産婦の健診と保健指導などを助産師が自立して行ない産科医の負担を軽減しようという方策です。
こうした妊婦健診や保健指導等を助産師がすべて行なうわけではなく、妊婦さんの経過や意志を考慮したうえで産科医が随時担当します。
助産師外来に加えて院内助産所を設ける医療機関も多く、妊産婦の助産も助産師が自立して行なっています。
・妊婦さんやご家族の支援
助産師は妊婦さんやご家族の多様なニーズに応え、妊婦健診や保健指導、生活指導、相談対応などを行なう役割を担います。
社会の少子化や核家族化により、妊婦さんは相談する相手がいなくて困っているという現状もあります。
妊婦さんが地域で安心安全かつ快適なお産や子育てができるよう、助産師がきめ細かくサポートしていくという役割も持っています。
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メリットと効果
・妊婦さんの立場から
助産師外来は完全予約制を採っているところが多く、妊婦さんは待ち時間なく助産師と対面で健診や保健指導などを受けることができます。
外来診療は30分間程度で、そのあいだはリラックスした状態で気安く助産師に質問したり相談できるというメリットが得られます。
外来には配偶者(夫)や両親、上の子どもさん等も同伴でき、いっしょにエコーを見る、助産師に質問する、説明を聞く、アドバイスを受けることが可能です。
最近注目されている妊婦さんのバースプラン(分娩方法、処置、立ち合い出産、入院部屋など)を相談できるのもメリットのひとつです。
・助産師の立場から
助産師は妊婦さんの健診や指導を担当することで、専門性を高めたりやりがいを感じることができます。
出産前から子育てまでを一貫してサポートすることで助産師としての経験や実績を積み、専門職としての視野や活動範囲を広げられます。
継続して妊婦さんをケアできることで、赤ちゃんの誕生や育児に関われるのも大きなメリットです。
産科医との連携でリスク回避ができると共に、医師からの助言が得られて関係性を深められる、助産師から医師に提案ができて自らの専門性を高める等の効果があります。
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助産師外来への転職をお考えの方は・・・
助産師外来は厚労省の推進もあり、急速に設置施設数が増えています。
とはいえ、病院やクリニックなど医療機関からの求人数はまだまだ少ないのが現状です。
その原因は、やりがいのある仕事だけに退職する人が多くはない、少子化で出産数があまり伸びない等の点にあります。
助産師の人で助産師外来のある病院やクリニックに転職したいなら、かなりこまめに求人情報をチェックする必要がありそうです。
・助産師専門の転職支援サイトを活用
助産師外来への転職をスピーディーに行ないたい、良い条件の求人先を探したいという場合は、助産師専門の転職支援サイトを利用してみてください。
助産師専門の転職支援サイトに登録すると、自分が希望するような求人先が探しやすくなります。
こうした転職支援サイトには、助産師の転職に詳しい専任リクルーターが常駐しており、役に立つアドバイスを貰えます。
また、転職支援サイトでは、一般に公開していない非公開求人情報も得られるので一挙両得です。
- 助産師が妊婦さんの健診等を行なうのが助産師外来
- 産科医との連携のもと、保健指導や相談対応をする
- 対象となる妊婦さんは正常経過の人のみとなる
- 助産師のみが担当するのではなく随時医師も診療する
- 妊婦さんやご家族と寄り添って出産や育児をするのが目的
- 助産師外来への転職には転職支援サイトを活用したい
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