毎年2,000人あまりの助産師が誕生し、その95%が、まずは病院から助産師としてのキャリアをスタートさせています。
助産師の活躍の場は色々挙げられますが、助産師の主な勤務先は病院というのが現実です。
同じ医療機関でも規模や種類が異なれば、そこで働く助産師の仕事内容も違ってきます。
ここではクリニックや助産院の場合と比較し、病院での助産師はどのような仕事をすることになるのか、病院で働くことのメリット、助産師が病院へ転職する場合の注意点を併せて確認します。
目次
助産師、病院での仕事内容とは
病院での助産師の仕事は?
クリニックや診療所、助産院など小規模な施設と病院とでは、そこで働くスタッフの数が大きく違います。
助産院では、対応可能な数や状態の妊産婦に対し、助産師が中心になって妊娠~産後のケアを行いますが、病院では、より幅広いケースの出産に対して、産科医、看護師、その他スタッフとともに、チームとなって診療・処置に当たります。
そのため助産師には、医療チームの一員としての役割が求められます。
実際の業務として、産婦人科、産科へと配属され分娩介助、保健指導に当たるほか、母親教室、授乳教室などの企画、開催を通じて、多数の妊産婦をサポートします。
病院によっては、外来と病棟の両方を掛け持ちする場合があります。実習を受け入れている施設では、学生の指導も助産師の業務のひとつです。
病院ではあらゆるケースの妊娠経過や分娩に立ち会うこととなり、助産師として勉強し経験を積むのに適しています。
大学病院と総合病院での仕事
最先端の設備や医療技術を備えている大学病院では、正常分娩を扱うケースがかなり少なく、ハイリスク妊娠や異常分娩の取り扱いが多くなります。
大学病院で助産師として働くことで学ぶ知識は多く、まず正常分娩と異常分娩の把握ができるようになります。これは後々正常分娩を扱うクリニックなどで働く際に、かなり強みとなる経験です。
総合病院では、病院の運営方針によって助産師の仕事の重点が変わってきます。
例えば、分娩に力を入れている病院であれば、正常分娩の経験とともに異常分娩の知識や対応力も必要とされてきます。
一方で、妊産婦のフォローを重視する病院では、妊娠~産後のトラブルの予防や対処、ケアなどを中心に業務を行います。
助産師自身がどのようなキャリアを積んでいきたいのかをしっかり考え、希望に沿った方針の病院を選ぶことが大切です。
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病院で働くメリットは?
キャリアアップに向いている
病院の助産師として働く最大のメリットは、正常分娩だけでなく異常分娩やハイリスク出産を含む様々なケースの妊娠~出産までの経過を体験でき、知識やスキルを身に着けていける点です。
助産院や小規模クリニックでは、環境や設備上正常分娩のみの扱いとなり、何かあったときには病院への移送となって、出産まで立ち会うことが適いません。
病院でキャリアを積んだのち、独立して助産院を開いたりクリニックへ転職をすれば、それまでの経験が活かされますが、初めての就職だったりまだ十分な経験を積んだとは言えない助産師の場合、まずは病院へ勤務して様々な経験を積んでおくべきと考えられます。
助産師の初めての就業先のほとんどが病院というのは、合理的な選択なのです。
公立病院という選択肢がある
病院のなかでも国立病院への勤務となれば、公務員扱いの助産師になることができ、より社会的安定が望めます。
安定した昇給、ボーナス支給、年金や退職金の額も期待でき、社会的信用が得やすくなります。市立病院の待遇については、各自治体の経営状態にもよります。
病院で働く助産師のデメリットは?
病院では妊産婦の診察、処置は医師・看護師の主導で行われ、分娩介助以外の助産師の業務は保健指導や母親教室などが主となります。
一貫して一人の妊婦をフォローすることは出来ず、より多くの妊産婦のサポートに当たります。
産院のように、一人一人の妊娠~出産~産後までをケアし、深く関わっていくということができない点をデメリットと感じる方もいることでしょう。
場合によっては「助産師としてのやりがい」を充分に感じられないかもしれません。
また、助産師よりも圧倒的に多い看護師と協力しながら仕事を進める必要があるため、人間関係のストレスが生まれやすい点がデメリットとなりがちです。
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助産師が病院へ転職する場合の注意点
病院では、新卒の看護師、助産師の採用機会が多く、新人の受け入れ・教育体制がしっかりしている傾向があります。
転職の場合にも、比較的安心して新しい仕事に慣れていける環境です。
病院にもよりますが、総合病院では常に看護師が配置されているので、急変時の対応を任せることができ、助産師へのオンコールが少ないというメリットが見られます。
小さい子供を育児中の方にとっては嬉しい条件です。
逆に助産院やクリニックでは、パート雇用でもお産が始まると残業になることが珍しくなく、子育てとの両立が難しく感じられる可能性があります。
事前に年間分娩件数をチェック
社会問題となっている出生率の低下は、病院経営に大きく影響します。
施設規模に比べ妊産婦数の確保が難しい場合や分娩件数が少なすぎる場合には、産科の規模を縮小したり産婦人科を閉鎖するといった可能性があります。
なかでも都市部では、無痛分娩などを取り入れていたり、入院設備・待遇の豪華なクリニックに妊産婦が流れやすく、大規模病院での出産数が減少する傾向にあります。
ケースバイケースですが、年間分娩件数が300件を割っている場合には、病院の経営状況を念のため確認したほうが良いでしょう。
<関連記事>:助産師の勤務時間は?
産科以外へ異動する可能性
助産師として採用されても、病院によっては産科以外への異動の可能性があります。
看護師が不足している他診療科への異動があったり、入職時には「看護師としてひと通りの手技を身につけたうえで産科へ」という名目で、内科病棟などに配属されるケースが見られます。
産科での仕事を希望するときには、異動の有無について事前に確認が必要です。
希望に合った病院での助産師求人をピンポイントで見つけるには、看護師・助産師専門の転職サイトが便利です。
サイトのエージェントを通じ、病院運営の内情や、職場環境についてあらかじめ確認し、入職後のミスマッチを防ぐことができます。
- 医療チームの一員として介助や保健指導に当たる
- 大学病院では特殊な分娩など様々な経験が可能
- 病院の方針によって助産師の仕事の重点が変わってくる
- あらゆるケースの妊娠、出産を経験できるメリット
- 助産師のやりがいが少なくなるケースも
- 転職前に年間分娩件数を確認する
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